ワイヤレス イヤモニシステムの作り方
ボーカルが自分の声をイヤホンでモニターしながら歌うことができるワイヤレス イヤモニシステムについてレポートします。
バンドの音が大きくて、自分の歌声が聞き取りにくく、ピッチ(音程)がずれてしまうという場合に、イヤホンでモニターしたいと思いませか?
最近プロのボーカリストがライブでイヤホンを装着していますよね。あれのことです。
ロックバンドだったら歌いながらアクションもするから、ワイヤレスのシステムがいいでしょう?
だけど、一般的なイヤモニシステムは2万円以上するものがほとんどです。ちなみに安い海外製品の中には、日本の電波法の絡みで、使ってはいけない周波数のものがあるので要注意です。
そこで、電波法に引っかからず、個人でも使えるブルートゥースでワイヤレスシステムが構築できれば、格安でイヤモニできると思い、仕様を調査した上で実際機材を購入し試しました。
さらに、ブルートゥースのシステムであれば、バンドのボーカルのイヤモニ以外の、例えばテレビの音を離れた場所でイヤホンで聴きたいとか、車の中で使ったりとか別の用途にも活用できるので便利です。
接続のイメージ
イヤモニに適した機材スペック
- Bluetooth5.0対応
- 対応オーディオコーデック:aptx low latency(aptX LL)
- 技適マーク取得済
ブルートゥース(Bluetooth5.0)は、4.2よりはるかに性能がアップしており、通信範囲が、4.2で10m、Bluetooth5.0では、20m。転送速度も2倍にアップしています。すなわち、Bluetooth5.0対応機器同士で接続すれば高速接続が可能なのです。
オーディオコーデックとは
音声データはそのままでは大きいため転送に時間がかかってしまいます。そこでデータを圧縮して転送したり、再生したりする方式(コーディック)にいくつかの種類があり、それぞれに特徴(メリットデメリット)があります。
SBC(SubBand Codec)標準コーデック
AAC(Advanced Audio Coding)
高音質、Macで多く使われている。(遅延あり)
APTX
高品質で遅延が少なめ
APTX Low Latency
◎高品質で遅延が非常に少ない
APTX HD
ハイレゾ対応(遅延あり)
ワイヤレスの場合、データを送信する側と受信する側ともに、同じコーディックになります。
音声データーを送ったり受信したりする機械。
送信専用のもの、受信専用のもの、送受信両方できるものがあります。
また、送信は、APTX Low Latency対応でも、受信側は非対応の場合もあるので、チェックが必要です。受信として使う場合、受信側もAPTX-LLが対応していないと音声は遅延します。
Bluetooth5.0対応のものを選びましょう!Bluetooth4.2と比較すると、性能がかなり良くなっています。※画像のリンク先は私が実際使ってみた商品ですが、性能がアップしているようです。(送受信ともAPTX-LL対応になったようですが、また変更あるかもしれないので、よくご確認の上購入してください。)
ブルートゥースでないイヤホンを、受信機にさして使ってみた
写真の左が送信、右が受信中。
自分が普段愛用しているイヤホン(ブルートゥースではない)を使いたい場合、Bluetoothの受信機に接続すれば、使えるはずと思い、トランスミッター(送受信できるもの)を2個買って試してみましたが、なんと!APTX Low Latencyモードにならず、遅延するではありませんか!ACCになっています。
よく調べてみたら、普通のイヤホンをレシーバー(受信機)にさしてつかう場合、受信の際、APTX Low Latencyに対応している必要があります。※私が買った送受信機は、受信の場合、APTX Low Latency非対応だったため、遅延があり、イヤモニの受信には適しませんでした。もちろん、送信用には問題ありません。
ちなみに、受信用にする場合、ボーカル用イヤモニでは自分の声が遅れて聞こえてくるので使えませんが、普通に音楽を聴くのなら問題ありません。
送受信とも遅延のないタイプはこれ!
こちらは、Bluetooth5.0で送受信ともにAPTX Low Latencyに対応しており、技適マークも取得済みです。条件オールクリア。価格は若干高くなりますがこちらはおすすめです。
受信機能のついたワイヤレスイヤホンの場合は、APTX Low Latency対応かどうか確認が必要です。対応していないと遅延します。さらに、Bluetooth5.0対応のものを選びましょう!※追記:私が購入したタイプは現在販売終了したので、条件をクリアしているスペックのものを探してみました。(参考までに掲載していますが、私は実際使用していないのでご了承ください。)画像のリンク先楽天で詳細がチェックできます。
ちなみに、左右セパレートタイプのものはまだ、いいレビューが少なく、そもそも、Bluetooth5.0とAPTX Low Latencyをクリアし、かつ、比較的安価なものが少ないです。
今後新製品が続々と出てくると思い、価格も下がってくれることを期待しています。
今回使ったイヤホンは密閉タイプで、このあたりは個人の使用感の好みもあると思いますが、私の場合ボーカルをモニターするとき密着しすぎでしたので、外音も聞こえるよう片耳にして使いました。
実際イヤホンをつけ家の中を歩き回ってみたら、場所によって音切れがありました。電子レンジや冷蔵庫とか他の家電の影響のようです。
スタジオや、ホールでのライブでは電波干渉や音切れもなくスムーズにモニターできました。
技適マーク取得済みを選ぼう
無線機器の場合電波法に適合した仕様でなければ、日本で使うことができません。技適マークというのを取得している商品であれば大丈夫です。
技適マークなしの製品を使うと罰せられることがあるので注意が必要です。知らずに使っている場合もあるかもしれません!
しかし、ここまで表記しているショップは意外と少ないので、購入の際は確認が必要です。
中央のまるいマークが技適マークです。下記に紹介しているサンワサプライのイヤホンです。
- Bluetooth5.0対応
- aptx low latency(aptX LL)対応
- 技適マーク取得済
この3ポイントの他、用途に応じて、電池の稼働時間や、対応ケーブルの種類などもチェックすると良いでしょう。
動画で実際使ってみた様子を紹介しています!みてね!
ペアリング(接続)方法
まず、送信機を出力したいオーディオ機器に接続し、送受信の切り替えは送信(TX)にしてスイッチを入れます。
イヤホンのスイッチを入れペアリングさせます。
これでOK。簡単です。
今回使用した、トランスミッターとイヤホン
私の購入したワイヤレスイヤホンは、現在は販売終了しました。
送受信器はこちら↓
アマゾンでも似ているものはありますが、技適マーク取得済みかどうかの表記があいまいなものが多いので注意した方がいいです。
ライブで使う場合は、接続や出音の調節はPAスタッフさんにお任せすれば大丈夫だと思います。
電波干渉や動き回る距離の問題があるので、事前にチェクは必要です。
スタジオでイヤモニを使う際のミキサーの設定もあわせて参考にしてください。
遅延のないイヤホン
遅延のないスペックのワイヤレスイヤホン(イヤホンケーブル)を探しました。
ワイヤレスで使うことができるSHUREのイヤホンケーブルは、コーデックはSBC、AAC、Qualcomm® aptX™、aptX™ HD、aptX™ Low Latencyに対応。
ケーブルとイヤホンが分かれているので、自分の好きなイヤホンを装着できます。イヤホンをワイヤレスや有線両方で使い分けしたい場合にも便利です。
下記ではSHUREの認定する、国内正規販売店のものを紹介していますので、保証や、技適マーク適合に関して安心です。
こちらで、ワイヤレスにするためのケーブルのみを購入できます。BT2対応のイヤフォンが接続可能です。
SHUREのワイヤレスイヤホンケーブルを使うと、対応する好みのイヤホンを接続できるのでおすすめです。